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神の恵みの選び (ローマ11:1~12)

メッセージ

2014年3月9日富里キリスト教会

「神の恵みの選び」
(ローマ書11:1~12)

1.恵みの選び

わたしたちは皆、高校に入る時も、大学に入る時も、選抜試験を受けなければなりません。そして、合格するために一生懸命勉強します。さて、では教会に入るためには、どうするでしょうか。選抜試験があるでしょうか。聖書の知識が、何点以上でなければ入ることは出来ませんということがあるでしょうか。そんなことはありません。誰も、そのような選抜試験を受けて合格して、バプテスマを受けて教会員になった方はいないと思います。では、どのようにして信仰に入ったのでしょうか。

それは、神様に選ばれたからです。神様からの一方的な選抜によって、選ばれて入ったのです。ただ、ただ、神様の一方的な選びによって信仰に入らせていただきました。わたしたちの側の、能力とか知力とか運動能力と言ったものではありません。神様の自由な選びによって、ある人は選ばれ、ある人は選ばれなかったのです。そこには、人間の努力も実力も一切関係ありません。

しかも、単なる神様の選びではなく、神様の「恵み」による選びです。選抜に、「恵み」という要素が加わっています。では、恵みとは何でしょうか。少し、難しい言葉で言いますと、「恩寵」ということです。神様からの一方的な無償のプレゼントという意味です。つまり私たちが選ばれて救いに招かれ、教会員とならせていただいたのは、私たちが、神様の選びに値するようなものでないにもかかわらず、神様の方で無条件に選んでくださったということです。神様に選ばれる価値も資格もないものが、一方的に声をかけられ救いに招かれた故に今日あるを得ているわけです。

パウロがその最たるものでした。クリスチャンを迫害し、縛り上げては獄に入れて、あらんかぎりの悪を重ねてきました。しかし、そういう極悪人の迫害者であっても、神様は異邦人伝道の器としてパウロを選んで下さったのです。本来ならば、神の裁きを受けるべきはずの人間が、神の恵みによって救いに招き入れられたのです。これが恵みです。そのような神様の一方的な恵みの選びにあずかったものとして、パウロは同胞ユダヤ人の救いのために、死を覚悟してまでも、何としてでも自分の同胞も救われて欲しいという願いを持って伝道してまいりました。

ところが、パウロが伝道すればするほど、同胞のユダヤ人から憎まれ、命を奪われるほどに危険な目に会って来ました。ユダヤ人にはこの神様の恵みということがどうしても理解できなかったのです。聖書には、至るところに神の恵みによってしか救われないということが記されているにもかかわらず、心も耳も閉ざされていた彼らは、かたくなに聖書の御言葉を拒み、自分の義しさ、自分の行い、自分の力を主張して神の御言葉に聞かなかったのです。聞いていても聞こえなかったし、見ていても見えなかったのです。そして、逆にこの神様の恵みの福音を宣べ伝える者を、自分たちの伝統や戒めに背くものとして迫害し続けてきたのです。

2.七千人の残りの者

じゃあ、神様はこんなにもかたくなになったイスラエルの民を、見捨ててしまわれたのだろうかという問いが、このローマ書11章の冒頭の言葉になっております。もう一度読んでみましょう。
「では、尋ねよう。神はご自分の民を退けられてのであろうか。決してそうではない。わたしもイスラエル人で、アブラハムの子孫であり、ベニヤミン族の者です。神は、前もって知っておられたご自分の民を退けたりなさいませんでした。それとも、エリヤについて聖書に何と書いてあるか、あなたがたは知らないのですか。彼は、イスラエルを神にこう訴えています。『主よ、彼らはあなたの預言者たちを殺し、あなたの祭壇を壊しました。そして、わたしだけが残りましたが、彼らはわたしの命をねらっています。』しかし、神は彼に何と告げているか。『わたしは、バアルに膝をかがめなかった七千人を自分のために残しておいた。』と告げておられます。同じように、現に今も、恵みによって選ばれた者が残っています。もしそれが恵みによるとすれば、行いにはよりません。もしそうでなければ、恵みはもはや恵みではなくなります。」
(ローマ11:1~6)

パウロは自分も、「イスラエル人であり、アブラハムの子孫、しかもベニヤミン族出身の者です」と言っています。そして、たとえあの不信仰のエリヤの時代であっても、神は決してイスラエルを見捨てたのではなかったと言っています。皆さんも知っているとおり、預言者エリヤは、たった一人でバアルの預言者450人と戦いました。そして主がエリヤに勝利を与え、彼はこの偶像に仕える偽預言者を、その場で打ち殺しました。しかし、その後、王の悪妻イゼベルによって命をねらわれ、たった一人で神の山ホレブに身を隠しました。戦いに疲れ、精も根も尽き果ててしまったエリヤは、主にこう訴えました。(列王記上19章)
「わたしは万軍の主のために戦って来ましたが、しかし、イスラエルの人々は主の預言者を殺し、わたし一人になってしまいました。そしてわたしも今、命をねらわれています。」(列王記上19:10,14)

まさにパウロが同胞ユダヤ人に伝道すればするほど、命が狙われたように、あの旧約の偉大な預言者エリヤも、たった一人で、かたくなな同胞イスラエルの不信仰と戦わなくてはなりませんでした。しかし、その時に、エリヤに臨んだ神の言葉がありました。それが、「わたしは、バアルにひざまずかなかった七千人を自分のために残しておいた。」(ローマ11:4、列王記上19:18)という言葉です。

つまりこれは何を意味するのかと申しますと、戦っているのは、エリヤでもパウロでもない、主御自身が戦っておられるのであり、そのために主御自身が、偶像にひざまずかない七千人の信仰者を残しておいたのだと言っています。エリヤもパウロも、ともすると、自分だけが一人で神のために戦っていると思っていました。孤独な信仰の戦いを、自分だけで頑張っていると思っていました。
しかし、そうではありませんでした。戦っているのは神様御自身であり、神様が伝道者や預言者を起こして、人々の不信仰を戒めているのだということを教えたのでした。

3.万民の救い

もはやユダヤ人のどこにも、救いの希望のひとかけらも残されていませんでした。彼らは完全に神から見捨てられてしまったのでしょうか。いや、そうではないとパウロは言っています。そのユダヤ人の反対も、すべて神様の救いの御計画の通りだというのです。いやむしろ、ユダヤ人がイエスを裏切り、十字架につけ、パウロや弟子たちを迫害したのは、むしろ神様の救いの御計画の中にあったことであり、それはむしろプラスの出来事だったのだと言っています。

10:1から読んでみます。
「では、尋ねよう。ユダヤ人がつまずいたとは、倒れてしまったということなのか。決してそうではない。かえって、彼らの罪によって異邦人に救いがもたらされる結果となりましたが、それは、彼らのねたみを起こさせるためだったのです。彼らの罪が世の富となり、彼らの失敗が異邦人の富となるのであれば、まして彼らが皆救いにあずかるとすれば、どんなにかすばらしいことでしょう。」
(11:11~12)

ユダヤ人がイエス・キリストの十字架と復活につまずいたのは、彼らが倒れてしまった、滅んでしまったというのではなく、実は異邦人に救いがもたらされて、異邦人が救いにあずかるまでの時であるというのです。彼らがかたくなになっているのは、一時的なものであり、しかも異邦人が全部救いにあずかるまでのことであるというのです。ユダヤ人のつまずき、ユダヤ人の失敗があったお蔭で、救いが異邦人に及ぶようになったのだとパウロは言っております。

しかも、神様は、異邦人がどんどん救われてくることによって、今度はユダヤ人が妬みを起こし、彼らもついにはイエス・キリストを信じるようになるのではないかと期待しているのです。(11:11)ユダヤ人の罪と失敗が、逆に、異邦人を救いに導き、そしてその異邦人の祝福を見て、ユダヤ人もいつかは福音を信じるようになるのではないだろうかとパウロは願いました。神様の救いの御計画は、こうしてすべての人を、神の恵みによって救おうとされていたのです。

神の恵みの救いというものは、そういうものです。自分の力と自分の行い、自分の努力によって、一生懸命頑張って来た人生。でも、結局はそれが自分の力、自分の義から出たことでありますから、必ず失敗に終わってしまいます。でも神様は、そういう罪に負けてしまった弱い自分、失敗してしまったような人生を歩んだ者も、神様の一方的な恵みによって救おうとされているのです。そのような、失敗と弱さと罪の中にある者であるが故に、神様の一方的な恵みによって、無条件で救い上げて下さろうとしているのです。

これが神の恵みによる選びなのです。選ばれる価値のないものをも、無条件で赦し義として下さり、神の栄光の器として用いて下さるお方なのです。そして、すべての人々が、この神様の恵みの選びにあずかることを心から願っておられるのです。今日、今、あなたがここでへりくだって、主を信じますと心で信じて、口で祈るならば、すぐに救われます。どんな人間であっても、どんな生き方をしてきた者であって、主に顔を向けるなら救われます。主の名を呼び求めるものは、ユダヤ人であろうが、中国人であろうが、日本人であろうが、区別なく救われるのです。これが神様の恵みによる選びなのです。(岡田 久)

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