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主の山に備えあり (創世記22:9~14)

メッセージ

2014年8月3日富里キリスト教会

「主の山に備えあり」
(創世記22:9~14)

1.あなたの愛する一人息子を献げなさい

「これらのことの後で、神はアブラハムを試された。神が、「アブラハムよ」と呼びかけ、彼が、『はい』と答えると、神は命じられた。「あなたの息子、あなたの愛する独り子イサクを連れて、モリヤの地に行きなさい。わたしが命じる山の一つに上り、彼を焼き尽くす献げ物として献げなさい。」(創世記22:1~2)

イサクは、アブラハムの息子です。しかもアブラハムが心から愛してやまない一粒種の息子です。神様から祈りに祈ってやっと与えられた信仰の子と言っても過言ではありません。神様が四回も言葉を変えて指摘しているように、イサクはアブラハムにとってかけがえのない一人息子だったのです。イサクがアブラハムにとっていかに大切な存在であるかということです。目に入れても痛くないと言うどころではありません。自分の命そのものと言ってもいいほどの息子でした。それだけ愛して、大事にしておりました。

その息子をわたしに燔祭、即ち焼き尽くす献げ物として献げなさいと言うのです。燔祭とは、供え物を全部焼いてその煙を天に届けると言う儀式です。献げる人の全き献身を表しております。神様が求めておられるのは、どうでもいい供え物ではないのです。自分にとって一番大切なもの、自分の命、自分自身を献げることを求めておられるのです。アブラハムが、神を第一とする献身の表れとして息子を献げなさいと言っているのです。それが、「あなたの息子」「愛する息子」「一人の息子」「イサク」をと言う四回のくりかえしの言葉で出ているのではないでしょうか。

しかも、この2節の「モリヤの地に行きなさい。」と言う言葉も、12章の一番最初に出てきました「レフ・レハー」という言葉が使われています。「レフ・レハー」と言うのは「お前自身に行け」「お前のために行け」「絶対に行け」と言う意味です。つまり、モリヤの山に行くことがあなたにとって大事なことであり、自分自身のためにも行くことを命じた言葉です。一見、大切なものを手放すために行くみたいですが、実はそうではなくそうすることがあなたにとって最善の道であるということを示しています。それがこの「行きなさい。(ヘブライ語で「レフ・レハー」)」と言う言葉です。

言い変えるならば、自分にとって損失となり不利益となるような道であっても、その先にはあなたが本来のあなたになるための未来がかかっているというような言い方です。信仰の道と言うのはそうですね。自分を捨てる、一番大事なものを捨てるという一見不利益な道ですが、その先には本来のあなたが待っているのだということです。本来の自分、すなわち神に造られ神の御言葉に従って神と共に歩む祝福された人生、本来の自分がそこでは待っているのだということです。

2.お前の信仰が、今、分かった

次の3節から10節までが、アブラハムが、この神の命令に従って一人息子イサクを連れてモリヤの山に出かけ、そこで一人息子イサクを屠ろうとした場面です。3節と9節を読ませていただきます。
「次の朝早く、アブラハムはろばに鞍を置き、献げ物に用いる薪を割り、二人の若者と息子イサクを連れ、神の命じられたところに向かって言った。・・・神が命じられた場所に着くと、アブラハムはそこに祭壇を築き、薪を並べ、息子イサクを縛って祭壇の薪の上に載せた。そしてアブラハムは、手を伸ばして刃物を取り、息子を屠ろうとした。」(22:3、9~10)

そしていよいよ定められた場所に着きました。そして、アブラハムは祭壇を造って薪を載せ、その上にイサクを縛って載せました。そして、用意して来た刀で、今まさにイサクを屠ろうとしました。その時に、天から御使いの声が聞こえました。「その子に手を下すな。何もしてはならない。あなたが神を畏れる者であることが、今、分かったからだ。あなたは、自分の一人子である息子すら、わたしに献げることを惜しまなかった。」(22:12)と。神様は、すんでのところでイサクの命を助けました。

このイサク奉献の神様の御命令は、アブラハムがどこまで神を畏れ敬い、神の御言葉に従うかを試されるためだったのです。「あなたが神を畏れる者であることが、今、分かったからだ。」と言われました。ということは、神様は、今の今まで、アブラハムを信用していなかったということになります。この男の信仰は本物だろうか、どこまでわたしを主人として従い、わたしを畏れ敬っているのだろうかと言う疑問がありました。ですから、アブラハムをテストしたのです。

今の今まで、アブラハムが実際に息子イサクの喉元に刃を突き付けるまでは、彼を信用していなかったのです。神様は、どこまでも私たちの信仰を見ておられるのです。私たちの心を最後の最後まで見ておられるのです。もう40年も50年も信仰生活をしてきたから大丈夫だということはありません。地上での最期を迎え、息を引き取るまで見つめ続けておられるのです。たとえ病気で入院していて、もしかして教会から離れていてもです。最後の最後まで、私たちの心を、神への全き献身を見ておられるのです。これがヤーウェ・イルエ(神が見ておられる)と言う名前です。神様がちゃんと最後まで見ていて下さるから、最後の最後まで全てを備えてくださるのです。

私たちは一人一人、神様に知られているものです。神様から見られているものです。神様は私たちの心を、夜も昼も休むことなく見ておられます。「見よ、イスラエルを見守る方は、まどろむことなく、眠ることもない。」(詩編121:4)主は常に私たちを見ておられます。私たちの心を見ておられます。私たちの心の中に、神以外に、神よりも第一とするものがないかどうかを。たとえ神が下さったものでも、それがときには偶像になってしまって、自分の神になってしまうことがあるからです。そのようにして、信仰生活の中で、また人生のいろんな場面、場面で、神様は私たちの心を試されるのです。

今日皆さんは、どんな供え物をもって礼拝に来られましたか。神様は、「私たちが一番大切にしているものを献げなさい。」と言われました。神に献げるということは自分にとっては大きなマイナスかも知れません。でも、主はそのような私たちの心をご覧になっておるのです。毎週、毎週の礼拝、そして毎週の水曜祈祷会、そして日々の祈りの祭壇に、何を献げているでしょうか。何を犠牲にしているでしょうか。自分にとって命よりも大切な物を献げているでしょうか。
その心をご覧になっています。

3.主の山に備えあり

最後に、13節からを読んで終わります。「アブラハムは目を凝らして見回した。すると、後ろの茂みに一匹の雄羊が角をとられていた。アブラハムは行ってその雄羊を捕まえ、息子の代わりに焼き尽くす献げ物としてささげた。アブラハムはその場所をヤーウェ・イルエ(主は備えてくださる)と名付けた。そこで人々は今日でも『主の山に備えあり(イエラエ)と言っている。』(22:13-14)

「主の山に備えあり」と言う有名な言葉になっていますが、英語では、「備える」はprovideで、「備える人」をprovider、「神の摂理」をprovidenceと言います。ですから、神様は最初からチャンと備えをもって待っていて下さるということです。プロバイダーなのです。PCでも、どっかのプロバイダーに入らなければ、サービスを受けられません。そこからインターネットに接続し、いろんな情報を得ることができます。供給する窓口です。必要なものはそこから取り出すことができます。そしてすべてのことは始めから神様の御計画によって備えられているということです。すべては神の摂理(providence)の中にあるのです。

アブラハムにとっては、神様からいただいた約束の子イサクでした。この子にアブラハムの祝福の一切がかかっていると思っていました。でも一番大切なものは、イサクではなく、神様御自身なのです。そのような信仰を神様は私たちの求めておられるのです。あなたの心の中に、イサクはいませんか。目に見えて頼りになる者です。あなたが一番大事にしているものは何ですか。それを主はご覧になり、それ故に。それを捨てなさい、あなたの宝物をわたしに渡しなさいと言っておられるのです。

なぜなら、神様は私たちに神様の命でもある御独り子イエス・キリストを献げて下さったからです。このお方以外に、大事だとする物があっていいでしょうか。神の御独り子である御子イエス・キリストの献げ物以上に、大切なものはありますか。神様は、そのようにして私達に神様の真実であり真心であるお方を献げて下さいました。

神様の最高の供え物です。この方御子イエス・キリストの中にすべてのものが隠されているのです。この方こそ、神様が私たちのために備えてくださった最高の供え物です。永遠の贖い主である神の子羊です。ですから罪も汚れもあるままで、この神の備えたもうた恵みの山へ登りましょう。今日も主の十字架を記念して、主の晩餐式が備えられています。神様御自身が備えてくださった最高の供え物である、イエス様の十字架の血潮と裂かれた肉にあずかりましょう。
共にこの恵みの山に招かれていることを感謝しつつ、一切を捨てて、人生の最後まで信仰をもって、このお方のみ声に聞き従って行きたいと願っております。

                                                      (岡田 久)

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