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ソロモンの背信 (列王記上11:1~13)

メッセージ

2012年8月19日富里キリスト教会
「ソロモンの背信」
(列王記上11章1~13節)

1.はじめに

11章の1節から読んでみましょう。
「ソロモン王はファラオの娘のほかにもモアブ人、アンモン人、エドム人、ヘト人など多くの外国の女を愛した。これらの諸国の民については、主がかつてイスラエルの人々に、「あなたたちは彼らの中に入って行ってはならない。彼らをあなたたちの中に入れてはならない。彼らは必ずあなたたちの心を迷わせ、彼らの神々に向かわせる」と仰せになったが、ソロモンは彼女たちを愛してそのとりことなった。彼には妻たち、すなわち七百人の王妃と三百人の側室がいた。この妻たちが彼の心を迷わせた。ソロモンが老境に入ったとき、彼女たちは王の心を迷わせ、他の神々に向かわせた。こうして彼の心は、父ダビデの心とは異なり、自分の神、主と一つではなかった。」(列王記上11:1~4)

今朝は、私たちもこの聖書の御言葉の中から、二つのことを主の警告として学んでゆきたいと思います。一つは、「ソロモンの迷いと罪」、二つ目は「ダビデとソロモンの違い」ということについてみてみたいと思います。

1.ソロモンの迷いと罪

あのソロモン王という人物が、老境に入ってからは信仰が薄らいだということでしょうか。2節の最後に「ソロモンは彼女たちを愛してそのとりことなった。」とあります。これは、ますます女の魔力に惑わされて深みに入って行って、完全に自制を失ってしまった一人の年老いた王という印象を与えます。このソロモンの女性好きは、最初は異教徒との結婚は政治的経済的関係で行われていたかもしれません。しかし、それに知らず知らずのうちにのめり込んでしまったソロモンは、かつて主が語られた「女たちはあなたの心を迷わせ、他の神々へと向かわせる結果になるので、くれぐれも気をつけるように」(申命記7:1~5)と言った主の警告どおりに成ってしまったのでした。

そしてこの外国の妻たちの結納の品々の中には、彼女たちの奉ずる異教の神々の像も入っていたのでした。国が栄えると同時に、そこには神ならざる者、異質なものも混じりこんでくる危険性があります。ま、少しくらいはいいじゃないか。外国から嫁いできているのだから、寂しいこともあるだろう、自分の国の神様を礼拝するくらい大目に見ておこうという気のゆるみがソロモンにあったかもしれません。寛容が裏目に出てしまいました。

そうこうしているうちに、ソロモン自身も、妻と一緒になってシドン人の女神アシュトレト、アンモン人の神ミルコムに従うようになりました。そしてとうとう、エルサレムの東の山にモレク神の祭壇まで築くようになったのです。しかも、どの妻にも同じように自分の神々を礼拝する事を許したものですから、千人の妻がいたら千体の神々の像がまつられ、祭壇が築かれたと言ってもいいでしょう。あの神の都エルサレムがいつの間にか、怪しげな偶像の巣食う都になって行ってしまったのでした。ここにソロモンの罪があります。

聖書の神様は、ねたむ神です。自分以外ものを神として礼拝すると嫉妬する神です。そして他の神々に行って礼拝する事を、霊的な姦淫を犯しているとイスラエルの預言者は痛烈に批判しました。私たちもクリスチャンになりたての頃は、物を知らないで元旦には神社に行って礼拝したりしていました。お寺にも行かざるを得ません。でも今は、なるべくそういう偶像のいる場所にはいかないように気をつけていますし、どうしても行かなければならない時には、神様に祈って赦しを得て、また他の神々の悪霊が自分に乗り移らないように守ってくださるよう祈ってから行くようにしているのではないでしょうか。

ソロモンは、政治経済活動を優先する前に、霊的信仰的な純潔性を優先させなければなりませんでした。自分のところに嫁いでく外国の妻の背後にあるものをしっかりと見定めて、祈りつつ慎重に自分たちの信仰と一致する女性を選ぶべきでした。妻を千人も土台必要ありません。しかし、当時はイスラエル以外の外国から、同じ信仰を持った者を選ぶということは難しいことでした。

特に結婚において、どんな人でもいいという訳にはゆきません。違う宗教の人と結婚してダメになった例はいくらでもあります。同じキリスト教信者の場合でも難しいです。バプテストの信徒がカトリックの人と結婚できますか。バプテストの人が日本基督教団の人と結婚できますか。おそらく、結婚してもそれぞれ別々の自分の教会に行くことでしょう。目先の結婚願望ではなく、目先の経済政治的都合で結婚するのではなく、霊的な一致、信仰的な一致を持って結婚することが大切ではないでしょうか。特に男性の場合は、奥さんの方に引っ張られてゆきますので、どんな信仰をもった奥さんなのかもしっかりと確かめる必要があるでしょう。現代でもやはり、祈りをもって神様の導きを求めて、相手を探して行くことが大事だと言わなければなりません。

3.ダビデとソロモンの違い

神様は、そういう無節操なソロモンに対して怒り、彼を戒められました。
「ソロモンの心は迷い、イスラエルの神、主から離れたので、主は彼に対してお怒りになった。主は二度も彼に現れ、他の神々に従ってはならないと戒められたが、ソロモンは主の戒めを守らなかった。そこで主は仰せになった。『あなたがこのようにふるまい、わたしがあなたに授けた契約と掟を守らなかったゆえに、わたしはあなたから王国を裂いて取り上げ、あなたの家臣に渡す。あなたが生きている間は父ダビデのゆえにそうしないでおくが、あなたの息子の時代にはその手から王国を裂いて取り上げる。ただし、王国全部を裂いて取り上げることはしない。わが僕ダビデのゆえに、私が選んだ都エルサレムのゆえに、あなたの息子に一つの部族を与える。』」(列王記上11:9~13)

ソロモンは、神様のこの二回にわたる警告を無視しました。イスラエルの分裂の原因は、正直言って、このソロモンの神に対する背信行為にあったと言っても過言ではありません。最後まで異邦の神々を礼拝することを止めずに、主に忠実ではありませんでした。ここが、ダビデとソロモンを分けた信仰の内実ではないかと思います。確かにソロモンは、ダビデのように自分の部下を亡き者にして、その妻を自分のものにするという、恐ろしい背信と犯罪行為は起こさなかったかも知れません。しかし、「偶像礼拝をしてはいけない、真の唯一の汝の神に立ち返れ」という主の戒めに、最後まで耳を傾けることはありませんでした。

一方、ソロモンの父ダビデは、最後の最後まで、主に忠実に従い、主の心をわが心とし最後まで主に従い続けました。4節のところに「こうして彼ソロモンの心は、父ダビデの心とは異なり、自分の神主と一つでなかった。・・ソロモンは主の目に悪とされることを行い、父ダビデのようには主に従い通さなかった。」
(11:4b,6)とあります。

ダビデは、バテシバ事件で罪を犯し、預言者ナタンに責められた時、「わたしは主に罪を犯した。」(サムエル下12:13)と告白しました。そして一週間断食をして主にわが子を助けてくれるように祈り求めました。しかし、バテシバとの間にできた不義の子は亡くなりますが、主はダビデの悔い改めに応える形で、ダビデを滅ぼすことなく再び王位に復帰させます。ここがダビデ王とソロモン王の違いではないかと思います。先週のメッセージで言いましたように、ソロモン自身も「罪を犯さないものは一人もいません。」(8:46)と祈っています。

人間皆、誰でも罪を犯します。問題は、罪を犯した時に、そして罪を神様に指摘された時に、どう答えるかだと思います。ダビデは預言者ナタンに責められた時、「わたしは主に罪を犯しました。」「あなたに、あなたのみにわたしは罪を犯し、御目に悪事とみられることをしました。」(詩編51:6)と告白しています。徹底的な罪の悔い改めです。この女性問題においては、ダビデも罪を犯しました。しかし、ダビデは主の前に罪を告白し、悔い改めたのです。ここがダビデとソロモンの違いです。この点において、ダビデは主と一つ心となって、生涯主に従い続けたのです。

だれでも人間ですから、心に迷いは起こります。ソロモンも男ですから、自分の欲望を抑えることはできなかったと思います。でも、大事なことは、その罪、過ちを人に指摘された時に、素直に反省して悔い改めることができるかどうかです。詩編141:5にこういう言葉があります。「正しい人がわたしを戒めるようにさせてください。それは、思いやりであり、頭に注がれる油です。わたしの頭はそれを拒みません。」(現代訳聖書)

神の警告、神の鞭、神の叱責を聞いてそれを受け入れるかどうかです。その叱責や警告注意は、神様からの祝福の油だということです。神は、ソロモンの信仰ではなく、この父ダビデの悔い改めの信仰のゆえに、ソロモンの生きている間、王国の分裂はないということを約束しました。そして、ソロモンの息子のために一つの部族ユダ族を残すという約束をしました。これも、ソロモンのゆえにではなく、父ダビデとの約束のゆえにだということです。このように主は、罪を悔い改めて主に従う者には、祝福をもって報いて下さるかたです。

私たちも、年を取ればとるだけ信仰が深まり、強められるということでもないようです。むしろ、老境を迎えた高齢者にとりましては、自分の経験や富や年齢を誇るゆえに、この神の懲らしめや警告を受け入れがたくなるようです。その良い例が今日のソロモン王の晩年ではないでしょうか。私たちも、ダビデのように、最後の最後まで、主の戒めを心に留め、罪を悔い改める心、砕かれた心へりくだる心をもって、主に最後まで従う人生でありたいと願っております。
                    (岡田 久)

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