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サウロの回心 (使徒言行録9:1~9)

メッセージ

2012年3月18日富里キリスト教会
「サウロの回心」
(使徒言行録9:1~9)

1.はじめに

今回の震災を通して、「人間とは何か、生きるとはどういうことか、神は果たしておられるのか、人間に未来はあるのだろうか」という根源的な問いが発せられてきつつあります。私の好きな新生讃美歌439番に「御子イエス世人のため」という歌があります。その歌詞の繰り返しのところに、Because He(Christ)

lives I can face tomorrow, Because He lives all fear is gone, Because I know He holds the future, And life is worth the living just because He lives という素晴らし歌詞があります。

「キリストが生きているから、キリストが未来の鍵をもっているから私たちは恐れない、キリストが生きているからこそ、私たちは生きることに人生に意味があるのだ」というこの歌詞は、クリスチャンだけではなく、悲しみや苦しみの中にある人々にも、励ましと希望を与える言葉ではないでしょうか。今こそ、私たちもこの主の再臨の差し迫っている時代だからこそ、もっと真剣にもっと熱心に生きる意味を問い、死の先にある希望にについて考えて行く必要があるのではないでしょうか。昔いまし、今も生きておられ、やがてまた来たりて全ての者を裁かれる主を信じて、今のこの終りの時を、この来たるべき輝かしい時に向かって精一杯、主のために生きて行きたいと願っております。

2.人生の探究者パウロ

パウロの人生は、波乱万丈の人生でしたが、今日の9章の回心の出来事を通して、彼の人生は大きく変わって行きます。そしてこの回心の出来事は、サウロ自信を変えただけではなく、福音宣教の働きにも大きな変化をもたらしました。ペテロやヤコブと言った主イエスの直弟子たちのグループは、エルサレムを中心にユダヤ人伝道に向かい、パウロは異邦人への伝道に向かいました。(ガラテヤ2:7~8)

パウロははっきりとした妥協を許さない信仰を持っていました。時には、弟子のリーダーであるペテロに対しても激しく、福音を守るために激しく批判したりしています。(ガラテヤ2:11~14)そして彼の博識に富んだ弁論。かつては熱心なユダヤ教徒でありリーダーであったが故に、仲間のユダヤ人からは命を狙われるようになり、致し方なく異邦人伝道へと向かったパウロでした。しかし、これも神様の深い御計画でした。

もしパウロがいなければ、そして彼が回心をしていなければ、異邦人への宣教の道は閉ざされていたと言っても過言ではありません。そして、キリスト教は、ユダヤの地に起こったユダヤ教の一派として歴史の中に名前を残すにとどまったかもしれません。あの妥協を許さない愛と情熱を持ったパウロがいたからこそ、そして、福音のためにはどんなことでもすると言った彼の信仰の情熱があったからこそ、キリストの福音は全世界的な拡がりをもって発展することができました。パウロの手紙が、聖典として今日まで残され、今も信仰に導く書として読まれ続けております。その最初の大きなきっかけになったのが、今日のダマスコ途上でのサウロの回心でした。

3.回心は突然起こる 

9章1節から読んでみます。「さて、サウロはなおも主の弟子たちを脅迫し、殺そうと意気込んで、大祭司のところへ行き、ダマスコの諸会堂あての手紙を求めた。それは、この道に従う者を見つけ出したら、男女を問わず縛り上げ、エルサレムへ連行するためであった。ところが、サウロが旅をしてダマスコに近づいたとき、突然、天からの光が彼の周りを照らした。サウロは地に倒れ、『サウル、サウル、なぜわたしを迫害するのか』と呼びかける声を聞いた。『主よ、あなたはどなたですか』と言うと、答があった。『わたしは、あなたが迫害しているイエスである。』」

どうしてサウロはこれほどまでにして、クリスチャンを迫害しようとしたのでしょうか。それは、おそらく7章のステファノの最後のメッセージを聞いていたからではないかと思います。その時には彼はステファノを殺すことに賛成していました。あの時に聞いたステファノの説教と、祈りの言葉。しかも最後まで、石を投げつけられ、薄れゆく意識の中で、自分を殺そうとしている者たちのためにとりなしの祈りをささげて息を引き取ったステファノの姿が、いつまでも若いサウロの脳裏から離れなかったのではないでしょうか。(7:59~8:1)

そのステファノの祈りの声を打ち消すようにして、サウロは迫害の息を弾ませながら、馬を飛ばしてダマスコに向かいました。そしてダマスコの町が見えたところで、主がサウロを捕えました。このように、回心は突然起こります。誰も、自分はこれから回心するぞと予告して回心する人はいません。私たちの人生に、突然、天からいろんな形で不思議な方法で、神様が介入してきます。そして人は人生の大きな転機を迎えます。

それは、突然起こります。神様が、私たちの今までの生き方を180度転換させるのです。ですから、自分はまだ回心していないのではないだろうかと思ったり、後ろめたく思う必要はありません。後で気が付くものです。大事なことは、今の自分の行き方に真剣に向き合い、誠実に今の自分の行き方を続けて行くことです。時が来れば、神様が一人一人にそのような回心の時を与えて下さいます。いつ来るか分かりません。今自分で信じているところで、今の場所で精一杯主に仕えて行くことです。

4.暗闇の中で

この回心の経験は、大きな痛みと苦難が伴う時があります。それは、神様がその人の人生に圧倒的な力を持って介入されますので、神に打ち砕かれ、粉々にされるからです。突然、暗闇に突き落とされるような経験をするかもしれません。サウロは、突然馬から突き落とされ、目が見えなくなりました。その時、「サウル、サウル、なぜ、わたしを迫害するのか」と言う声は聞こえました。しかし、彼はその時の天からの突然の光によって、目が見えなくなりました。そして、彼は仲間に手を引かれて、ダマスコの町にみじめな姿で入って行きます。

それから三日間、飲まず食わずで真っ暗闇の中で、一人で静かに祈るしかありませんでした。この時、彼は暗闇の中で、初めて自分の姿に気づくのです。それは、神は光であるということ。そして人間は闇にすぎないということ。真っ暗闇の中で、彼は一人静かに自分の今までの仕業について振り返り、自分の犯してきた過ちと罪に気づかされて行きます。

つまずいてみなければ解らない世界、真っ暗闇に落とされてみなければ解らない世界がそこにはあります。しかし、そこはまた主との出会いの場であり、悔い改めと回復の場となって行きます。そして、私たちは長い人生の中でそういう場所を、何度か通らされる時があります。でも、そのつまずいたときに、暗闇に突き落とされた時に、その場で、静かに祈りつつ自分を顧み、自分の真の姿を見つめさせられ、自分の罪を悟らされるのではないでしょうか。

5.回心の背後に祈りあり

最後に、一人の人の回心の背後には信仰者の祈りがあったということです。先ほど、殉教したステファノのとりなしの祈りについてお話しましたが、ほかにも、この後に出てまいりますダマスコに住んでいたアナニヤと言うクリスチャンがいました。おそらく、ダマスコのクリスチャンたちも、あの迫害者サウルが追ってくるという危機感を持っていたと思います。ダマスコ在住のクリスチャンと一緒になって、サウロの迫害の手から逃れることができるように祈っていたに違いありません。

9:11の後半に「今、彼サウルは祈っている」と言う主の御言葉がります。サウルは、目が見えなくなってから、ダマスコの町の「直線通り」のユダの家にいました。そして主は、そこに行って、サウルのために祈るようアナニヤに指示しました。この時、サウロは何もできず、一人で家にいて祈っておりました。アナニヤは戸惑いつつも、主の仰せに従ってユダの家に行きました。そしてアナニヤがサウルの上に手を置いて祈ると、サウルの目から鱗のようなものが落ちて、前のように見えるようになりました。

この9:18の「目から鱗のようなものが落ちて見えるようになった」と言う言葉から、「目から鱗」と言う格言が起こったと言われています。英語では、鱗のことをスケール(Scale)と言います。スケールと言うのはもう一つ意味がありました、尺度とか物差しと言う意味もあります。すなわち、サウロは今まで自分が持っていた尺度、自分の基準から解放されたということになるのではないでしょうか。自分の考え、自分の知識、自分の力で一生懸命突っ走ってきた彼が、アナニヤの祈りによって聖霊が注がれ、聖霊に満たされて新しい基準、新しい尺度が与えられたのです。それは、あのナザレ人イエスに対する信仰でした。

このような祈りがあったからこそ、一人の偉大な福音宣教者が起こされました。祈りは長ければ長いほど、神様の大きな恵みを引き起こします。そしてすぐにかなえられないからこそ、迫害の中で、必死に祈り続けるからこそ、そのぶん神様の大きな御計画の中に置かれているのではないでしょうか。救いは主にあります。伝道も主の業です。私たちの生と死を支配し、闇を光に変えて下さる主は、今も生きておられます。このお方を信じて、信仰と希望を持って祈って行きましょう。                      (岡田 久)

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