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エリシャの涙 (列王記下8:7~15)

メッセージ

2012年9月16日富里キリスト教会
「エリシャの涙」
(列王記下8:7~15)
1.はじめに

さて、先週は預言者エリヤとアハブ王のお話でしたが、ここで一挙に飛んでエリヤの後継者エリシャのお話に入ります。今日の個所を読んでみましょう。
「エリシャがダマスコに来たとき、アラムの王ベン・ハダトは病気であった。「神の人がここに来た」と知らせる者があって、王はハザエルに言った「贈り物を持って神の人を迎えに行き、わたしのこの病気が治るかどうか、彼を通して主の御旨を尋ねよ。」ハザエルは贈り物としてダマスコのすべて価値あるものをらくだ四十頭に載せて携え、エリシャを迎えに行った。彼はエリシャの前に立って言った。「あなたの子、アラムの王ベン・ハダトがわたしをあなたに遣わしました。この病気が治るかどうかと言っています。」エリシャは言った。「行って王に言うがいい。『あなたは必ず治る』と。しかし、主は彼が必ず死ぬことをわたしに示された。」神の人は、ハザエルが恥じ入るほど。じっと彼を見つめ、そして泣き出したので、ハザエルは、「どうしてあなたは泣かれるのですか」と尋ねた。エリシャは答えた。「わたしはあなたがイスラエルの人々に災いをもたらすことを知っているからです。あなたはその砦に火を放ち、若者を剣にかけて殺し、幼子を打ちつけ、妊婦を切り裂きます。」(列王記下8:7~12)

2.ベン・ハダト王の病い

当時、北のイスラエル王国を最も悩ましていたのが、北に隣接するアラム王国でした。この国は、シリヤとも言いますが、首都はダマスコと言う町です。TVのニュースでいつも話題になっていますが、現在シリヤは内戦状態で、先日も日本人の女性カメラマンが殺された国です。そのアラム、シリヤの国王、ベン・ハダトが重い病気にかかりました。

実は以前、アラムの軍の司令官ナアマン将軍が、思い皮膚病にかかった時に、自分の家の奴隷の少女からイスラエルにはエリシャと言う偉大な預言者がいて、
どんな病気の治すと言われ、多くの貢物を持って出かけて行きました。そして、ヨルダン川で七度体を洗ったら、体は元通りになり、ナアマンはイスラエルの神に帰依して帰って行きました。おそらく、このナアマンのいやしの出来事を王も知っていたのでしょう。エリシャがアラムの町ダマスコに来たと聞いて、早速、贈り物をもたせて自分の病についての神の託宣を求めました。

病気は誰でも怖いです。おそらく、ベン・ハダト王は、かなり重病の病いに冒されていたと思います。時には、死と向き合わなければならないかもしれません。ハダトは、ダマスコの町の宝物をらくだ四十頭分携えて、部下のハザエルに託してエリシャに送り届けました。部下のハザエルが、エリシャの前に立って、王の病気は治りますかと尋ねると、エリシャはこう答えました。「行って王に言うがいい。『あなたは必ず治る』と。しかし、主は彼(王)が必ず死ぬことをわたしに示された。」と。ハダトの病気は治る、しかし、彼は死ぬことになるという二つの預言がハザエルに語られました。

3.エリシャの涙

しかし、この時、預言者エリシャの目は、使いに来た王の家臣ハザエルに目が留まりました。そして食い入るようにハザエルの顔を見つめました。ハザエルは恥ずかしくなるほどエリシャはじっと見つめたのです。そして見つめているうちに、エリシャの目から大粒の涙がこぼれ落ちて来ました。ハザエルはびっくりしました。「エリシャ先生、どうされたのですか。わたしを見つめてそんなに涙を流されるとは。」すると、エリシャはこう言いました。「わたしはあなたが、イスラエルの人々に災いをもたらし、砦に火をかけ、若者たちを皆殺しにし、子供は岩に打ちつけて殺し、妊婦の腹を裂いて胎児もろともきり殺してしまうのが見えます。」と。

一体誰がそんなむごいことを想像し得たでしょうか。当のハザエル自身でさえ、「先生、一体犬のようなこの僕に、なんでそんな大それたことができるでしょうか。」と言わしめたほどでした。しかし、現実には、このような誰も想定出来なかったほどの惨事が、イスラエルの国に臨んだのでした。

預言者エレミヤも哀歌の中で、あの神の都エルサレムが敵の軍勢に踏みにじられる様子を書き残しています。哀歌2:18(P1288)から読んでみましょう。「おとめシオンの城壁よ、主に向かって心から叫べ。昼も夜も、川のように涙を流せ。休むことなくその瞳から涙を流せ。立て、宵の初めに。夜を徹して嘆きの声をあげるために。主の御前に出て、水のようにあなたの心を注ぎ出せ。両手をあげて命乞いをせよ。あなたの幼子らのために。彼らはどの街角でも飢えて衰えてゆく。主よ、目を留めてよく見てください。これほど懲らしめられた者がありましょうか。女がその胎の実を、育てた子を食い物にしているのです。祭司や預言者が、主の聖所で殺されているのです。」(哀歌2:18~20)

イスラエルは北も南も、その不信仰と偶像礼拝のゆえに、徹底的に主の懲らしめを受けました。これほどの懲らしめを受けた国が、かつてあったでしょうか。誰も想像できないほどの悲惨なことがこの国に起こったのです。私たちもそうです。思いがけないことが突然起こるのです。

パウロもこう言っています。「あなたがたに何度も言ってきたし、今また涙ながらに言いますが、キリストの十字架に敵対して歩いている者が多いのです。彼らの行き着くところは滅びです。」(フィリピ3:18)と。また「だから、わたしが三年間、あなた方一人一人に夜も昼も涙を流して教えて来たことを思い起して、目を覚ましていなさい。」(使徒言行録20:31)これは、不信仰な者たちが、一日も早く、一人でも多く、早く悔い改めて主の救いに入ることを願った涙でした。

今日、私たちの周囲を見てみますと、多くの人々の心が傷つき、希望を失い、将来に対して大きな不安をもったまま生活しています。子供たちを例にとりましても、一番安心していられる家庭が、親の虐待により不安の場になり、学校でさえ自分で自分の命を守らなければならない場になっています。いつまた、あの大地震、大津波が起こるとも限りません。人々は、本当に心安らげる憩いの場を見失しない、将来への不安と恐れを感じながら、根無し草のように生きていると言っても過言ではありません。

神の救いを知らずに生きている人々の最期を思う時、その行き着く先は一体どうなるでしょうか。永遠の滅びです。真っ暗闇です。エリシャの目には地獄のような光景が、そして人々の苦しむ姿がはっきりと見えたのです。彼らのために祈りましょう。また、神に背を向けて、さ迷い続けている人々のために涙を流しながら、共に祈りましょう。教会こそ、イエス・キリストこそ私たちが帰るべき神の永遠の故郷ですよと声を大にして言いたいです。

4.ハザエルの謀反

最後に、ベン・ハダトの家臣ハザエルがどうしたかが記されています。彼はエリシャの言葉に驚き、エリシャの預言の言葉を打ち消しましたが、主君のもとに帰ると、「必ず治ると彼は言いました。」(8:14)と王に告げます。王もこの言葉を聞いて安心したことでしょう。でも、ハザエルは、エリシャの後半の言葉を告げませんでした。それは、自分がアラムの王になるということでした。

そしてエリシャの予言通り、また、エリヤが油を注いだとおりのことが起こりました。翌日、家臣のハザエルは、布に水に浸したものをもって王の顔を覆って暗殺してしまったのです。ハザエルは王を暗殺して、アラムの新しい王になりました。しかし、これも全ては神様の御計画の中にありました。神は、罪を悔い改めないイスラエルに対して、ベン・ハダト王に代えて、残虐かつ強力な王ハザエルを立てたのです。エリヤの油注ぎを受けた、ハザエルには、イスラエルの町と人々を徹底的に懲らしめよと言う主の命を帯びたものでした。

それは、ただ一つ、主の懲らしめは彼らが、不信仰と偶像礼拝をやめて、真の神に立ち帰ることではなったでしょうか。主の懲らしめは、人々が一日も早く主の前に立ち帰り、真の神であるイエス・キリストの元に帰ってくることを願ったものでした。神御自身が、涙を流して、彼らが早く悔い改めて、主の許に立ち帰って来るのを待っておられるのです。エリシャの涙は父の涙です。神の涙です。その涙を、イエス・キリストもパウロも、そしてエリシャもエレミヤも流しながらとりなしの祈りを捧げたのです。自分の罪を悔い改めて、この涙の祈りに応える者となりましょう。また、私たちもエリシャと一緒に、涙を流しながら祈りましょう。愛する家族のために、友のために、子供のために。
(岡田 久)  

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