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わたしは決して信じない (ヨハネ20:24~31)

メッセージ

2015年4月19日富里キリスト教会

「わたしは決して信じない」
(ヨハネ20:24~31)

「十二人の一人でデイデイもと呼ばれるトマスは、イエスが来られたとき、彼らと一緒にいなかった。そこで、ほかの弟子たちが、『わたしたちは主を見た』と言うと、トマスは言った。『あの方の手に釘の跡を見、この指を釘後に入れて見なければ、また、この手をそのわき腹に入れて見なければ、私は決して信じない。』さて八日の後、弟子たちはまた家の中におり、トマスも一緒にいた。戸にはみな鍵がかけてあったのに、イエスが来て真ん中に立ち、『あなたがたに平和があるように』と言われた。それから、トマスに言われた。『あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、わたしのわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい。』トマスは答えて、『わたしの主、わたしの神よ』と言った。イエスはトマスに言われた。『わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである。』」
(ヨハネ20:24~29)

1.一人一人に必ず出会って下さる主

そしてみんなが、先週あった出来事の話していて、「わたしたちは復活の主に出会った。」と言う会話を聞いて、正直のところ耳を疑ったのです。自分はその時にいなかったし、自分は実際に見てはいないと思いました。彼はこう言いました。「わたしはあの方の手に釘の跡を見、この指を釘跡に入れてみなければ、また、この手をそのわき腹に入れてみなければ、わたしは決して信じない。」本当にイエス様かどうか、あの十字架の傷跡があるのかどうか、それを確かめなければ決して信じないと言ったのです。

よくこの箇所を私達は、「疑い深いトマス」と名づけて読んでしまいます。仲間の言ったことを信じない疑い深い弟子、不信仰な弟子の典型に考えてしまいます。でも、トマスは不信仰だったのでしょうか。皆さんでしたらどうしますか。
私達はともすると、みんなが言っているから信じるとか、家内が信じているから信じるとか、親がクリスチャンで代々そうだから信じていると思っていることはないでしょうか。あまり復活についての確信がないにもかかわらず、周りがそうだからとか、バプテスマを受けてしまったからとか、何か信じていればいいことがありそうだから、天国行きの保険に入りたいから信じていると思っている方はいないでしょうか。

「本当だろうか」と言う疑いがあっても、それを押し殺していることはありませんか。あるいは周りに引けを取らないために、一生懸命信じているふりをしていることはないでしょうか。私は正直申しまして、高校生の時にバプテスマを受けて、7、8年間はそういう時期がありました。復活の確信がないのに、あるようなふりをしていました。それをごまかすために、いろんな奉仕や社会活動に専念していた時期がありました。復活は頭で解っていても、教理として教えられてはいても、確信がないのです。「本当にイエス様は復活して今も一緒にいて下さるのだろうか、そして私達もそうなるのだろうか。」と。

でも私は、これは真実な態度だと思います。「信仰」のことをギリシャ語では「ピステス」と言いますが、これは他にも「真実、真理」と言う意味もあります。自分の心を偽らないということです。ヨハネによる福音書にもう一人、真実な人が出ています。それはナタナエルと言う人です。イエスの弟子の一人フォリポが友人のナタナエルにこう言いました。「わたし達は救い主イエスに出会った。それはナザレ人ヨセフの息子だ。」と言いますと、彼は「何であんな田舎のナザレからそんな偉大な人が出るのか。」と反論しました。そういう本音を言ったナタナエルに対して主イエスはこう言いました。「見なさい。まことのイスラエル人だ。この人には偽りがない。」(ヨハネ1:43~51)と言ったのです。(「ベンハー」を書いたアメリカの小説家リュー・ウォレスの証し)

自分の心に正直に、真実を生きること、これが信仰(ピステス)です。そういう人に、神様は必ず出会って下さいます。あんな不信仰な人間、疑い深い人間は、見捨てなさいとは言いません。嘘や見栄や偽りのない自分の真実な心をもってついて来るときに、必ず主はその人に出会って下さいます。私はそれが今日の個所の言わんとするところではないかと思います。問題は、どうでもいいと思っている心です。わたしとキリストは関係ない、十字架だろうが復活だろうが、私には関係のないことだと思う人は救われません。

「信じるなら信じる、信じないなら信じない」と言いなさいと言うことです。信じているのか、信じていないのか中途半端な態度、生ぬるいどっちなのか分からないような生き方をしてはいけないということです。そういうどっちつかずの生ぬるい信仰を持っている人は、わたしの口から吐き出しますと言っています。「あなたは冷たくもなく熱くもない。むしろ、冷たいか熱いか、どちらかであってほしい。熱くも、冷たくもなく生ぬるいので、私はあなたを口から吐き出そうとしている。」(黙示録3:15~16)と言っています。

2.御言葉と御霊を通して復活の主と出会う

イエス様は、どんな疑い深い人でも信じられない人にでも、必ず出会って下さいます。この日もわざわざ復活についての確信を持つことが出来ずにいた一人の弟子のために現われて下さったではありませんか。そしてトマスのリクエストに答えてくださいました。ご自分の指の傷と脇腹の傷をわざわざ見せて、「さあ、わたしのわき腹にあなたの手を入れてみなさい。」とまでおっしゃって下さったのです。そう言われて、「じゃあ確かめさせていただきます」と言って、皆さん、手を差し込むことが出来ますか、指を手の甲に入れることが出来ますか。

もうトマスは感極まって、その場にドーッとひれ伏して「わが主、わが神」という声をあげることしかできませんでした。このように嘘偽りのない心をもって真実に主を求める時に、必ず主はその人に出会って下さいます。これが信仰です。そしてこの信仰は、見ないで信じる信仰です。主はトマスに「わたしを見たから信じたのか。見ないで信じる人は幸いである。」と言いました。見ないで信じる信仰です。つまり、聖書の御言葉を聞いて信じる信仰です。目からの信仰ではなく耳から聞いて信じることです。「信仰は聞くことに始まる。」(ローマ10:17)とありますように、何よりも聖霊様の助けを求めつつ聖書の御言葉を聞くことです。

あの全盲の天才ピアニスト辻井信行君のお母さんいつ子さんの書いたエッセー集です。それによりますと、伸行君は先天性小眼球症と言って、生まれながら眼球が小さく生まれました。ですから光を感知することが出来ません。お母さんは、わが子のことをもうと毎日毎、辛く苦しい日々を送っていました。「この子は一生親の顔を見ることが出来ないんだ。光のない暗闇の世界で一生過ごさなければならないんだ。」と悩んでいました。

お母さんは、なるべく自然に触れさせようと思って、野山に散歩に連れて行きました。そしてきれいな自然の姿を、そのまま伸行君に言葉で教えていたというのです。「黄色いチューリップの花よ。」「赤いリンゴ。黄色いバナナ。」といった具合にです。もちろん生まれつき目が見えませんから、黄色がどんな色かもわかりません。ある時、伸行君が、散歩の途中で、爽やかな風が吹いて来ました。その時、彼がお母さんに「お母さん、今日の風の色は何色?」と尋ねたそうです。

もちろん風には色はありません。でも伸行君の目は、その時、風の色を見ていたのではないでしょうか。目には見えないからこそ、よく見える色もあるのではないでしょうか。音にも「音色」と言う色があるように、風邪にも風の色というものがあるのではないでしょうか。見えないからこそよく見えるものもあるのです。聞くことには大きな力があります。たとえ8か月の幼児でも、天才の弾くピアノの音を聞き分けているのです。お母さんの声を聞くことによって、伸行君の心はどんどん広がって行ったのではないでしょうか。

「あなたがたは、キリストを見たことがないのに愛し、今見なくても信じており、言葉では言い尽くせないすばらしい喜びに満ちあふれています。」(Ⅰペテロ1:8)とペテロも言っています。復活されたイエス様は、目には見えませんが今も私たちと共にいて、励まし助け導いて下さっています。肉の目で確かめるのではなく、霊の目を持って聖書の御言葉から主の十字架と復活を信じることを神様は願っておられます。

20:31にわざわざヨハネがこう書き残しています。「これらのことが書かれたのは、あなたがたが、イエスは神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により命を受けるためである。」(20:31)と。聖書が書かれた目的が記されています。聖書は私たちがイエス・キリストを信じるために書かれたのであり、そしてイエスの名によって救いを得るために書かれたのです。もしまだ復活が信じられなければ、私達はもっともっと聖書を読み込むべきではないでしょうか。聖霊様の助けをいただきながら、祈りつつ真剣に、熱心に調べながら読むことです。

私達が、このトマスのように真実の偽りのない心を持って、この聖書の御言葉に取り組む時に、必ず主はわたしたちの目を開いて悟らせて下さいます。この主の御言葉を、嘘偽りのない心で求めることがわたし達の真実な信仰です。復活の主は、「わたしは見なければ、決して信じない」といった人にも、真実を持って必ず出会って下さいます。 

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