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恵まれた女 (ルカ1:26~38)

メッセージ

2013年12月15日富里キリスト教会

「恵まれた女」
(ルカによる福音書1章26~38節)

1.おめでとう、恵まれた女

突然、誰かに「おめでとう」と言われたら、どう感じるでしょうか。「エッ、何がおめでたいの?」と思ってしまうでしょう。そういう突然の「おめでとう」が起こったのが、御子イエス様の母となったマリヤでした。聖書を読んでみます。「六か月目に、天使ガブリエルは、ナザレというガリラヤの町に神から遣わされた。ダビデ家のヨセフという人のいいなずけであるおとめのところに遣わされたのである。そのおとめの名はマリアといった。天使は彼女のところに来て言った。『おめでとう恵まれた方。主があなたと共におられる。』マリアはこの言葉に戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ。」
(ルカ1:26~29)

天使ガブリエルが、マリヤの親戚のエリザベトが妊娠してから六か月目に、マリアに遣わされて告げました。この突然の天使のお告げに、マリヤは戸惑い考え込んでしまいました。「いったい、何がおめでたいのだろう。」と。突然、何の前触れもなく「おめでとう」と言われても、おそらく誰でも戸惑い悩んでしまうかも知れません。

でもクリスマスの出来事というのは、全く突然に、その人に告げ知らせられるのです。これは神様からのグットニュースです。一方的な恵みの知らせなのです。来たるべきキリストのお母さんなら、他にもふさわしい人がいたかもしれません。祭司の妻とか、王女様とか、日本で言えば、皇室の系統をひく人とか、身分の高い、由緒ある家系の子女という方がいたでしょう。

でも、このマリアにとって、めでたいことの一つは、こんな名もない、貧しい女に、神様の独り子を産むという、最高の祝福と栄誉が与えられたからです。これが神様からの恵みのプレゼントです。神の側からの一方的なプレゼント、これが恵みの出来事なのです。しかも当時のユダヤの国の多くの女性の中から、このナザレに住む一人のまだ若い、名もない女に与えられたのです。

更にもう一つ、おめでたいことは、「神が共におられる」ということです。これをヘブライ語で何と言いますか。「インマヌエル」ですね。神様からいただいた最高のプレゼント、それは、お金でも宝石でも幸福でも成功でもなく、「神様が共におられる=インマヌエル」というプレゼントです。もう一度、「インマヌエル」と言ってみましょう。どんな時でも、インマヌエルです。辛い時、悲しい時、泣きたくなる時でも「インマヌエル!」(神我らと共なり)と叫びましょう。

2.戸惑い、考え込んだマリア

このようにクリスマスは、最高におめでたい嬉しいことなのです。でもその半面、ちょっと不安と恐れを感じさせるような出来事でもあります。手放しで喜びたいけども、そうもできないところがありました。誰でもそうです。自分の身に覚えのないことを、突然言われたら、たとえめでたいことでも何のことだろうかと疑問や疑いを持つのは当然です。

マリアはまだ結婚してはいませんでした。確かに婚約はしましたが、ヨセフとはまだいいなずけの関係で、正式に式をあげたわけでも夫婦になったわけでもありませんでした。ですからマリヤは天使にこう言いました。34節で「どうして、そんなことがありえましょうか。私は男の人を知りませんのに。」と尋ねています。これはまだいいなずけの夫ヨセフとは、夫婦の関係を持っていませんということです。結婚前です。ですから、「どうして、なぜ?」という疑問と戸惑いがありました。

マリアにとっては、自分の人生の最高の時、結婚式を控えた花嫁という一番輝いた時を過ごしていたのではないでしょうか。そういう人生の一番幸福な時に、降って湧いたような不思議な知らせです。人によっては、「わたしはいまそんな不謹慎なことにかまっていられない。それよりも、ヨセフとの結婚生活に向けて準備して行かなければならない時なのに、子供を産むなんてとんでもない。」と思って天使のお告げを無視してしまうこともあったかもしれません。

もし、万が一、ヨセフと結婚する前に、自分がたとえメシアを宿したとしても、誰もそれを認めてくれないし、下手をしたら、ヨセフからも離婚を言い渡され、律法に従って、姦通罪で死刑にされてしまうかもしれないという危険性もありました。ですから、マリヤは手放しに喜べない。むしろ、戸惑いと不安、恐れの感情の方が彼女の心を襲いました。

私たちもそういうことはないでしょうか。神様の一方的な選びと恵みによって、神の子としますという知らせを受けても、そして、そのことを信じてはいても、実際にそのことを受け入れて従えるでしょうか。自分の人生と生活に大きなリスクと危険性を感じた場合、もろ手を上げて喜んで、神の御言葉に従うことができるでしょうか。夫はどうするだろうか、家族のこと、友達親戚のことを考えれば、ちょっと待ってくださいと、躊躇してしまうことはないでしょうか。(伊藤姉のバプテスマの延期の例)

3.お言葉どおり、この身になりますように

その時、マリアは、率直に自分の意見と言いますか、疑問を天使にぶつけました。「どうして?!」「なぜわたしが?!」という質問です。そうしましたら、天使ガブリエルがマリヤにやさしく教えてくださいました。35節からです。「聖霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。あなたの親類のエリザベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう六カ月になっている。神にできないことは何一つない。」と。

何か、神様に対して疑問や分からないこと、不可解なことがありましたら、遠慮なく質問することです。天使が聖霊様を通して、必ず皆さんの質問に答えてくださいます。あの信仰深いマリアでさえも、「結婚していない自分が妊娠する」ということは信じられないことでした。でも、神様に問いかけ質問する時に、必ず、天使が易しく、聖霊様を通して解りやすく、私たちの心に答えてくださいます。

天使ガブリエルは、マリアが身ごもるのは、いいなずけの夫ヨセフによってではなく、聖霊なる神様によって身ごもると言いました。そして、神様の力によって神の御子が宿るのであるから心配しないようにとも言いました。更に、親戚のエリザベトも、高齢であるにもかかわらず、すでに妊娠していると言って励ましてくれました。心配と不安でいっぱいのマリヤの心に、いろんな例をあげて丁寧に励ましてくれたのです。これが神様との祈りです。マリヤは祈りの中で、神に問いかけました。そして天使は、恐れないで、わたしの言葉に従いなさいと励ましました。

神様は、私たちに、言い知らせと同時に、解らないこと、不思議なこと、合点がいかないことも教えられます。大切なことは、それをそのままにしないで、神様に、あるいは聖霊様にとことん納得がゆくまで尋ねることです。その時に、神様が天使を使って、あるいは聖霊様を通して私たちに納得がゆくまで説き明かし語って下さいます。そして、最期には、「神にはできないことはない。」という確信へと導いて下さいます。

その結果、マリアは、「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身になりますように。」と告白したのでした。つまり、主のはしためというのは、主の召使い、奴隷ですということです。ご主人様のおっしゃることには何でも従いますという決心をしました。そして、天使ガブリエルが告げたとおりのことが、わたしの身に起こりますようにと、すべてを主に委ねて従ったのでした。

これがマリヤ、恵まれた女の姿です。自分の願いや願望を捨て、主の御心が自分の身になりますように、そしてこれからの自分の生活も生涯も、一切を主に委ねて従ってまいりますと告白をしたのです。大きな戸惑いや不安、疑いがあったでしょう、けれども、それらを受け止めたうえで、主に従う道をマリアは選びました。クリスマスの出来事は、そういう意味では嬉しい反面、自分の目指す生き方を捨てて、主の道を選ぶという決断の時でもあります。

この後マリアは、妊娠した身重の体で、先祖の町ベツレヘムまでヨセフと共に、移動しなければなりませんでした。長い旅でした。また、ベツレヘムでも、泊まる場所がなく、馬小屋で出産を迎えなければなりませんでした。どんなにか心細かったことでしょう。そして、ヘロデ王の兵士の手が伸びた時に、天使からエジプトに逃げるように言われて、家族三人で命からがらエジプトへ逃げました。そして、ヘロデが死ぬまで外国に住んで身を隠していました。そして、最後に、御子イエスが十字架に架かった時には、先立つわが子の死の姿を見なければなりませんでした。

イエス様は、このマリアのように、「お言葉どおりのことが、この身になりますように。」と言って、すべてを主に委ねて従って行く人生を歩むことを願っておられます。戸惑い、恐れ、不安、疑いがあることもあります。後退することも、二の足を踏むこともあるでしょう。でも、主は私たちに「恵まれた女よ、おめでとう。神には何でもできないことはありません。」と言って励ましていて下さいます。神様は、私たちが主を畏れ敬い、常に主を目の前において従うことを願っておられます。私たちも、マリアのように、「インマヌエル。主われらと共にいます。お言葉どおりのことが、この身に成りますように。」と言って、主の御前に歩む者でありたいと願っております。         (岡田 久)

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